ゴミ屋敷が起こすトラブル事例

お昼のワイドショーなどで、時々、家のまわりにゴミを積み上げて近所でも有名になったゴミ屋敷が取り上げられることがあります。住人にインタビューすると、一言も応じなかったり、自分の主張を繰り返す、といった映像を目にすることがあります。

ゴミ屋敷にしてしまう人それぞれに、さまざまな理由や背景があります。家族の関係、近所づきあいなどが上手くいかずに孤立して、いつしか家にゴミが溜まってゴミ屋敷化してしまい、トラブルに発展してしまいます。

家族間でのトラブル

別居している家族の間で、家の中にゴミが溜まっていくことでトラブルになるケースが多くあります。高齢の親の住む実家がゴミだらけだとか、独り暮らしをしている娘や息子の様子を見に家を訪ねたらゴミ屋敷になっていたなどの場合、掃除や片づけをするように詰め寄る側と抵抗する住人とで激しいケンカになった挙句に関係が断絶してしまうことがあります。 

もともと家族の関係が悪いために孤立してゴミ屋敷にしてしまったケースもあれば、離婚・失業など心理的に大きなダメージを受けたり、生活環境が変わったりしたことがきっかけで暮らしが荒れてしまったというケースもあります。いずれもはじめの頃は、ゴミの中で生活する住人を見かねた家族が掃除を手伝ったり、片付けるよう何とか説得を試みたりしますが、そのうち疎遠になり、気づいたらゴミ屋敷になっていたということが多いようです。

ゴミ屋敷にしてしまうのは独り暮らしの高齢者に多く、体力や気力が衰えて掃除が行き届かなくなったり、ゴミの分別やゴミ出しの日が分からなくなったりしてゴミや汚れが溜まっていきます。

家族がいて時々様子を見に来る場合、住人の衰えを理解しつつも、つい家族同士でケンカになってしまいます。住人にしてみれば、たまに来て文句ばかり言う家族はわずらわしく、家族にすれば生活の心配もさることながら、近所の人から苦情を受けることもあり、ゴミ屋敷の住人を腹立たしく思うようになります。

ご近所とのトラブル

ゴミ屋敷は住人だけの問題ではありません。家の中に放置したゴミが腐敗して悪臭を放ち、害虫が大量に発生したり家の中がネズミの巣と化します。

ゴミで閉まらなくなった窓や扉から野良ネコが入り込んで住みつき、糞尿の悪臭がひどいこともあります。こうした、悪臭や衛生上の問題は周辺の住宅にも及び、近所の人とのトラブルになってしまいます。

ゴミはそのうち家の外へと広がって、悪臭はひどくなり、隣家との境界線を脅かしたり、近くの道路を狭くしたりします。

収集癖のある住人は、どこかから拾ってきたゴミを持ち帰っては家のまわりに積み上げていき、城壁のようなゴミの山をつくります。

近所の人は、町内の景観が損なわれるために不快な気分になり、隣家は積み上がったゴミが崩れて敷地にあふれることを心配しながら暮らすことになります。

家の内外にあふれるゴミは火災の心配もあります。家の中のゴミは、住人が調理をしたり、暖房器具を使用する際にゴミに引火する危険性があります。

外に積み上がったゴミは、タバコの投げ捨てによる火災や放火の心配があります。また、腐敗による発熱などの自然発火も考えられます。近所の人にとってゴミ屋敷は、不快な存在から危険な存在にもなっていきます。

行政とのトラブル

ゴミ屋敷の住人は、ゴミのあることが暮らしの一部だったり、収集したごみが心を満足させる物だったりするので、どのような苦情も受け付けません。

ゴミのあることが気になっている場合でも、苦情を受け入れて部屋の掃除や片づけをする体力も気力もありません。家族とトラブルになり、近所の人ともトラブルになった挙句、家族とも地域社会とも断絶して孤立しています。こうなってしまうと、苦情の行先は市町村役場などの行政機関になります。

ゴミ屋敷の苦情を受けた行政は、すぐに対応してくれるかといえば、地域の現状は把握するも、さまざまな問題があってなかなか動いてくれないのが現状です。

ゴミであっても個人の所有物である以上、勝手に移動することができませんし、片づけられないという個人的なことに行政が口出しする訳にもいきません。また、一個人所有の家の片づけに税金を使う訳にいかないという事情もあります。

しかしながら、放置しておけば自体はどんどん悪化していきます。そこで、自治体によっては、「ごみ処分の命令」「近隣への迷惑に対する罰金」「ゴミ屋敷住人の氏名の公表」など、条例でゴミ屋敷に対する罰則規定を定めているところもあります。

ただ、実際は罰則を突きつけたところでゴミ屋敷問題が解決することはありません。行政期間の担当部署が根気強く交渉をしていくことになります。

ゴミ屋敷の住人に家族がいる場合は、家族に協力してもらうこともできますが、家族も連絡の取れる親族もいない場合は、本人と直接交渉することになります。

行政としては、なんとか、地域住民が困っていることや本人の健康状態が心配であることなどを伝えて交渉し続けるしかありません。親身になって接し続けた結果、ゴミ屋敷の改善につながることもありますが、地域住民も巻き込んだ大きなトラブルに発展すると、結局は税金を使って強制撤去に踏み切らざるをえなくなるケースもあります。

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